脳の各領域の機能についてです。
思考盗聴・盗撮について理解するには、どうしても脳について理解しなければなりません。
脳機能局在論
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%84%B3%E6%A9%9F%E8%83%BD%E5%B1%80%E5%9C%A8%E8%AB%96
前頭葉
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%89%8D%E9%A0%AD%E8%91%89
成人期初期における統合失調症の典型的な発症は、不十分なミエリン化と、それによって引き起こされる前頭の細胞間の非効率的な結合とに関連がある。
ドーパミン系は報酬、注意、長期記憶、計画や意欲と関連付けられている。ドーパミンは、視床から前頭へと伝えられる感覚情報の制限、及び選択に関連しているとされている。米国国立精神保健研究所の報告によると、前頭前皮質におけるドーパミン活性の減少を起こす遺伝子変異はワーキングメモリ課題における成績の低下と課題中の前頭前皮質の機能の低下とに関係し、統合失調症のリスクをわずかに増加させると報告されている。
前頭葉の持つ実行機能 (executive function) と呼ばれる能力は、現在の行動によって生じる未来における結果の認知や、より良い行動の選択、許容され難い社会的応答の無効化と抑圧、物事の類似点や相違点の判断に関する能力と関係している。
前頭葉は、課題に基づかない長期記憶の保持における重要な役割も担っている。それらはしばしば大脳辺縁系からの入力に由来する情動と関連付けられた記憶である。前頭葉は社会的に好ましい規範に適合するようにこのような情動を調整する。
20世紀初頭に精神疾患の治療法として、ポルトガルの神経科学者のエガス・モニスによって初めて開発された、前頭葉と大脳辺縁系をつなぐ経路にダメージを与える方法が行われた。前頭のロボトミー (前頭葉切截術とも) により、患者の苦悩を軽減することに成功したが、副作用として感情、意思、人格の鈍化が見られた。
前頭前皮質
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%89%8D%E9%A0%AD%E5%89%8D%E7%9A%AE%E8%B3%AA
この脳領域は複雑な認知行動の計画、人格の発現、適切な社会的行動の調節に関わっているとされている。この脳領域の基本的な活動は、自身の内的ゴールに従って、考えや行動を編成することにあると考えられる。
前頭前皮質による機能を表す最も典型的な用語として、実行機能 (executive function) がある。実行機能は対立する考えを区別する能力の他、現在の行動によってどのような未来の結果が生じるかを決定する能力、確定したゴールへの行動、成果の予測、行動に基づく期待、社会的な"コントロール" (もし行ってしまったら、社会的に容認できないような結果を引き起こすような衝動を抑制する能力)に関係している。
前頭前皮質の中枢は高レベルの覚醒 (alertness) に強く依存する他、喜び、痛み、怒り、激情、パニック、闘争応答 (闘争-逃走-硬直応答 (fight-flight-freeze responses)) や基本的な性的応答を司る脳の深部構造との情動に関する経路にも強く依存している。
眼窩前頭皮質
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%9C%BC%E7%AA%A9%E5%89%8D%E9%A0%AD%E7%9A%AE%E8%B3%AA
眼窩前頭皮質(がんかぜんとうひしつ、英: Orbitofrontal cortex, OFC)は、ヒトの脳にある連合皮質の領域の一部で、意思決定などの認知処理に関わっているとされている。
感覚情報の統合、強化子 (reinforcer) の感情価 (affective value) の表現、意思決定や期待に関連しているという考えが提唱されている[2]。特に、ヒトの眼窩前頭皮質は報酬と罰に対する感受性に関連した行動計画を制御していると考えられている。
発表された脳機能イメージング研究によると、報酬価値、予測された報酬価値、さらには食べ物や他の強化子に対する主観的な喜びの度合いまでもが、眼窩前頭皮質で表現されている。
眼窩前頭皮質の内側部は強化子の報酬価値のモニタリング、学習、記憶に関係し、外側部は罰の評価に関係することで、現在行っている行動に変化を引き起こすことが示されている。同様に、前後方向に強化子の複雑性、抽象性が表現されていて、味覚などの複雑性の低い強化子よりも、金銭の収支のようなより複雑で抽象的な強化子に対して、眼窩前頭皮質のより前方が活動する。ヒトの眼窩前頭皮質では主観的な快楽性の経験を仲介する役割を持っているという説も存在する。 ・患者に対する神経心理学的研究は特に参照 後天性脳損傷 (ABI : Acquired Brain Injury) による眼窩前頭皮質の損傷は、一般的にある種の脱抑制行動を引き起こす。例えば、過度に悪態をつく、性欲過多、社会的対話の欠如、賭博への衝動、アルコール、煙草、薬物の摂取過多、共感能力の欠如などが起きる。ある種類の前頭側頭型認知症 (frontotemporal dementia) 患者の脱抑制行動は眼窩前頭皮質の変性が原因であるとされている。眼窩前頭皮質に損傷を受けた患者は、衝動的な決断や、経済感覚の欠如などの症状が起きる。
上前頭回
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%B8%8A%E5%89%8D%E9%A0%AD%E5%9B%9E
上前頭回が感覚器の活動と連携して、自己認識に関係している証拠を示した。
フリードは左の上前頭回の 2 cm 四方の領域が電気刺激によって一貫して (複数の試行において) 笑いが引き起こされる領域であるとした。AK は、笑いが陽気さや歓喜を伴って生じると報告した。AK は笑いの理由に関して、毎回異なる (他人にとっては面白くない) 外部の刺激によるものであると説明した。つまり、彼女がその名前を答えるように指示された絵 (彼女は"馬が面白い"と述べた。) や読むように指示された文や、同じ部屋にいる人 (彼女は"そこに立っている男の人たちがとっても面白い"と述べた。)によるものであると説明した。
刺激電流のレベルが上がるにつれ、笑いの持続時間や強度が増加した。 例えば、弱い電流は微笑みのみが生み出されるのに対して、強い電流では大笑いが引き起こされた。笑いの起きている間は言語や手の動きなどの全ての活動は停止した。
ブローカ野
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%96%E3%83%AD%E3%83%BC%E3%82%AB%E9%87%8E
人の脳の領域の一部で、言語処理、及び音声言語、手話の産出と理解に関わっている。
この領域に損傷を受けた人々は、ブローカ失語 (運動性失語、非能弁的失語とも) の症状を示し、文法的に複雑な文章を作り出すことが不可能になる。彼らの作る文章は、電文体と表現されるような内容語のみで構成されたものとなる。患者は殆どの場合、自らの言語障害に自覚的である。また、ある種の統語的に複雑な文章の理解は苦手とするものの、ブローカ失語症患者の言語理解は正常である。
弁蓋部
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%BC%81%E8%93%8B%E9%83%A8
1種類のみの刺激(単一モダリティー刺激の連合)に対する処理や、運動野に近いことから、音声言語産出のための発声器官の調整を担うと考えられている。
弁蓋部の異常な血流は自閉症との関連が指摘されている。
三角部
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%B8%89%E8%A7%92%E9%83%A8
三角部は言語理解や、その他の様々な機能に関わっているとされている。
三角部は言語の意味処理に関わると考えられている。
三角部は記憶の認知制御に役割があるとされてきた。何かを思い出す方法は様々に存在するが、人が何かを思い出そうとするとき、脳内の記憶中枢のストレージから情報が検索される。その情報は靴紐を結ぶ際の筋肉の収縮の順序であったり、恋人の顔など、様々なものがある。何かを自動的に思い出すとき、そこには、思い出そうと集中したり、意思を働かせることは無い。このような処理は"ボトムアップ"処理と呼ばれるものである。しかし、何かを思い出そうと意識することもあるだろう。例えば、ある学生がテストの際に、確かに習ったはずだが思い出せないような問題を解いているとき、記憶を呼び戻すことに注意を向けようと集中するはずだ。この時、記憶に対し認知制御が行われる。このようなタイプの処理に腹外側前頭前皮質 (VLPFC) が部分的に関与している。三角部はこの領域の一部である 。
文章を大声で読むとき、人は書かれている言葉を音声へと変換しているが、この処理はブローカ野で行われている。
統合失調症はその複雑な症状のため、殆ど理解されていない病気である。その原因を発見しようと、統合失調症患者の脳を調べた研究が存在する、従来から統合失調症患者では、非対称性、複雑性、変動性などの異常な脳回の形成が見られていた。
研究者は統合失調症患者においては白質と灰白質の発達の方法に違いが存在することを発見した。統合失調症患者では白質の広がりが少ない傾向が見られたのである。
頭頂葉
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%A0%AD%E9%A0%82%E8%91%89
頭頂葉は異なる感覚モダリティーから感覚情報の統合を行っており、特に空間感覚と指示の決定を担っている。例えば、頭頂葉は体性感覚野と視覚系の背側皮質視覚路を構成している。これにより頭頂葉において、視覚によって知覚した対象の位置を身体座標における位置に変換することが出来る。
一次運動野
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%B8%AD%E5%BF%83%E5%89%8D%E5%9B%9E
ホムンクルス
ヒトにおいては、一次運動野の外側部は上から順に、尻、胴、肩、肘、手首、指、親指、まぶた、唇、顎と配置されている。
楔前部
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%A5%94%E5%89%8D%E9%83%A8
この領域には感覚情報を基にした自身の身体のマップがあると考えられている。
中心後回
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%B8%80%E6%AC%A1%E4%BD%93%E6%80%A7%E6%84%9F%E8%A6%9A%E9%87%8E
体の各部位から体性感覚の入力を受け取る領域であり、機能的な分類では一次体性感覚野と呼ばれる。この領域は元々ペンフィールドによる表面刺激の研究によって定義された。
中心傍溝
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%B8%AD%E5%BF%83%E5%82%8D%E6%BA%9D
中心傍溝の近傍には、サッケードと呼ばれる急速な眼球運動の制御に関わりを持つ補足眼野(Supplementary eye field、SEF)と呼ばれる領域がある。
角回
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%A7%92%E5%9B%9E
角回は言語、認知などに関連する多数の処理に関わっているとされている。
体外離脱体験
最近の研究において、角回の刺激が体外離脱体験を引き起こす可能性を示したものがある[2]。ある実験では、角回を刺激された女性が、彼女の背後に存在する幻影を感じ、また、別の同種の実験では、 被験者が天井にいるような感覚を味わった。このことは、身体が実際に存在する位置と意識が知覚している身体の位置との不一致によるものと考えられる。
中心傍小葉
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%B8%AD%E5%BF%83%E5%82%8D%E5%B0%8F%E8%91%89
体性感覚および運動出力と関わる情報処理において様々な役割を担っていると考えられている。
中心傍小葉は特に下肢(足のこと)の運動の実行機能との関わりが深い。
頭頂間溝
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%A0%AD%E9%A0%82%E9%96%93%E6%BA%9D
感覚と運動の協調 (眼球運動や到達運動の方向制御) や視覚的注意である。
そのような機能として、記号的な数字の情報の処理や、視覚空間的ワーキングメモリや、他人の意思表示の解釈などがある。
後頭葉
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%BE%8C%E9%A0%AD%E8%91%89
有線外皮質には多くの領域があり、視空間形成や色識別、運動把握といったさまざまな視覚形成の作業に特化している。
後頭葉後部の皮質の神経細胞は、網膜上に映る視空間が再現されるように配列している。網膜が強いパターン刺激にさらされると、それと同じパターンが皮質上に応答することが、脳機能イメージングで明らかにされている。もし一方の後頭葉が傷害されると、どちらの目で見ても視界が左右の半分だけ(傷害された側と反対の側が)欠損してしまう同名半盲という症状が起きる。頭頂葉・側頭葉・後頭葉の連合野(より高次の機能を有する領域のこと)に病変があると、色彩失認、運動失認、失書といった症状が現れることがある。また後頭葉は、聴覚にも関与していることが示されている。
視覚野
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%A6%96%E8%A6%9A%E9%87%8E
背側皮質視覚路:where経路とも呼ばれ、運動、物体の位置や、眼や腕の制御、特に視覚情報を用いたサッカードや到達運動に関連付けられている。
腹側皮質視覚路:what経路とも呼ばれ視覚対象の認識や形状の表象(意識にのぼる映像)と関連している。また、長期記憶の貯蔵とも関連している。
V1 ニューロンの初期の応答は選択的な時空間フィルター(spatiotemporal filters)で構成されていると考えられている。空間次元では、V1 の機能は多くの空間的に局所的で複合的なフーリエ変換に似たものであると考えらる。理論的には、このようなフィルターは、空間周波数や方位、運動、運動方向、速度 (したがって、時間周波数も) やほかの多くの時空間的特徴について神経的な処理を行うことができる。
V1 へと中継される視覚情報は空間的 (または光学的)な像としてというよりは、局所的なコントラストとしてコードされている。例えば、片側が黒、反対側が白から成る像は、局所的なコントラストが最大である黒と白を分ける線がコードされ、輝度の情報 (黒さや白さ自体) は僅かなニューロンしかコードしない。情報が高次の視覚領域へと中継されるにしたがって、非局所的な周波数/位相信号がより多くコードされていく。重要なことは、このような皮質での視覚処理の初期では、視覚情報の空間的な位置は局所的なコントラストのコーディングのなかで強く保存されている点である。
背側皮質視覚路
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%83%8C%E5%81%B4%E7%9A%AE%E8%B3%AA%E8%A6%96%E8%A6%9A%E8%B7%AF
視覚対象が空間のどこにあるのかを理解する空間認識にかかわる(このため、where経路と呼ばれることもある)。
背側視覚路には空間の認識と、物に手を伸ばすというような行動の指標となる働きがある。この視覚路には、視野に対する詳細な地図を持ち、そこでの運動をうまく察知し分析している、という二つの際立った機能的特徴が ある。背側視覚路は、後頭葉における出発点では純粋に視覚機能しかないが、頭頂葉にある終点に向かうにつれて、空間認識へとその機能が移っていく。
後部頭頂葉は、立体的な関係の把握と理解や正確なボディイメージ、空間内での身体調節などの習得といった事 に欠かせない場所である。その中には、個々に異なる機能を持つ領域、たとえば特定の刺激に対して注意が向けられると活性化が増強する領域 (LIP) や、視覚情報と体性感覚情報を統合する領域 (VIP) などがある。
後部頭頂葉皮質の損傷があると、さまざまな空間認識障害が起きる。
視覚性同時失認 二つ以上のものに同時に注意を向けることができない。ある状況を描いた図を見て、細部は理解できても総合的な状況の理解ができない
視覚性運動失調 視空間性情報を手の動きの指標とすることができない。注視している対象をつかもうとしても、そこに手を持っていくことができない
半側空間無視 健側(障害側の反対側)の空間を認識できない。歩いていても障害側に寄ってしまう。
視覚性運動盲 動きを把握できない。見ているものがすべて静止して見え、動いているものは紙芝居やコマ送りのように見える。
失行 筋力は正常なのに、任意の、あるいは自由意志による運動ができない。手指の曲げ伸ばしといった簡単な動作から歩行、顔面の動作、さらに複雑な動作(じゃんけんをする、マッチで火をつけるなど)が、さまざまなレベルでできなくなる。
腹側皮質視覚路
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%85%B9%E5%81%B4%E7%9A%AE%E8%B3%AA%E8%A6%96%E8%A6%9A%E8%B7%AF
視覚野は腹側皮質視覚路と背側皮質視覚路に分けられ、腹側視覚路は視覚対象の認識や形状の表象(意識にのぼる映像)と関係している。一方の背側視覚路は対象の位置や動きの把握と関係している。
腹側視覚路は内側側頭葉(長期記憶を蓄える場所)や大脳辺縁系(情動をつかさどる)、背側視覚路(視覚対象の位置や動きを処理する)と強く関連している。
腹側視覚路の各視覚野は、それぞれの受容野での刺激の質だけでなく、視覚以外の要素にも影響を受ける 。例えば注意活動やワーキングメモリ、視覚的顕現性(salience、目立った視覚的刺激)などがある。つまり腹側視覚路は、目に見える外界にある一つひとつの要素を単に表現しているだけではなく、それらの要素の意味を判断する上で重要な役割を果たしている。
楔部
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%A5%94%E9%83%A8
楔部 (ブロードマンの脳地図における17野) は反対側の網膜の上側から視覚情報の入力を受けており、視野の下側を表現している。この領域は初期の視覚処理に関与している領域として知られている。
楔部からの投射を受けた外線条皮質で起きる中間レベルの視覚処理は、注意やワーキングメモリー、報酬予測などのような、網膜情報以外の情報による調節を受ける。
楔部の灰白質の体積は双極性うつ病患者における抑制的制御 (inhibitory control) の能力と関連があるとされている。また、賭博依存症の人間は対照群と比較して楔部を含めた背側皮質視覚路の活動が高いとされている。
舌状回
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%88%8C%E7%8A%B6%E5%9B%9E
夢や視覚、特に大きさやフォントなどに関わらず、単語の認知に重要な役割を持っている。
後頭極
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%BE%8C%E9%A0%AD%E6%A5%B5
機能的にはこの領域は一次視覚野にあたり、視覚情報の処理が行われている。
側頭葉
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%81%B4%E9%A0%AD%E8%91%89
側頭葉は聴覚処理に関わり、一次聴覚野の本拠地でもある。また、音声や文字の意味にも強く関わっている。
一次聴覚野
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%B8%80%E6%AC%A1%E8%81%B4%E8%A6%9A%E9%87%8E
聴覚野にあるニューロンは、それぞれの感受性が最も高い周波数に従って構造を成している。聴覚野の一端にあるニューロンは最も低い周波数に反応し、もう一端のニューロンは最も高い周波数に反応する。また、視覚野のように、聴覚野には異なる複数の領域が存在している。それぞれの領域は解剖学的に異なり、それぞれが完全な"周波数のマップ"を持っている。この周波数のマップ (トノトピー・マップ) の目的はよく分かっておらず、聴覚系の感覚上皮 (蝸牛) はその周波数に従って並んでいるという点を反映していると考えられている。聴覚野は聴覚的な"対象"の同定や分離、空間における音源の位置の同定などに関わっている。
幻聴はガンマ周波数帯に類似した (完全に同一ではない) オシレーションを引き起こす。スパーリング (Sperling) は自身の2004年の研究により、幻聴が12.5から30 Hz の脳波を引き起こすことを示した。この周波数帯は統合失調症患者の右側一次聴覚野の活動を、13人の対照群と比較した時に観測された。この実験は、被験者に頭の中で曲を思い出してもらい、実際には音を聞いていないにも関わらず、メロディやリズムや音全体の体験を経験してもらう過去の実験と対になるものである。統合失調症患者は幻聴を感じている時、一次聴覚野が活性化していた。このことは、曲を思い出してもらう際は三次聴覚野がわずかに活動することと比べて対照的な結果となった [9]。 このことから、一次聴覚野の人工的な刺激は非常にリアルな幻聴を引き起こすと考えられる。
前頭前皮質内側吻側部は内側前頭前皮質の下位領域で、扁桃体へと投射し、負の感情の抑制を助けていると考えられている[11]。内側前頭前皮質は衝動的な10代と温和な大人を比較した際、大きく発達の異なる領域であると考えられている。前頭前皮質内側吻側部の音色に対する感受性は、この領域が共鳴する音や音楽の周波数や音色に対して活性化することを意味する。このことは音楽によって人々の魂 (見方によっては大脳辺縁系) が安らぎを得るメカニズムとして考えられるかもしれない。
上側頭回
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%B8%8A%E5%81%B4%E9%A0%AD%E5%9B%9E
ブロードマンの脳地図における41野と42野は音の感覚を担う皮質領域である一次聴覚野にあたる。
ウェルニッケ野 (ブロードマンの脳地図における22野) は音声言語処理を担う重要な領域である。
ウェルニッケ野
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A6%E3%82%A7%E3%83%AB%E3%83%8B%E3%83%83%E3%82%B1%E9%87%8E
ウェルニッケ野という名前はドイツの神経科学者で外科医のカール・ウェルニッケの名からつけられた。彼は1984年にこの領域の障害がウエルニッケ失語、または感覚性失語と呼ばれる特有の失語症を起こすことを発見した。
この失語症の症状は 言語理解の障害と、音声言語の場合は自然な発音のリズム、比較的普通の文法といった特徴がある。
この領域は弓状束と呼ばれる神経経路を介してブローカ野と接続している。また、その音声言語の理解に関する役割から、一次聴覚野との接続が示されている。
中側頭回
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%B8%AD%E5%81%B4%E9%A0%AD%E5%9B%9E
距離の認知、顔認知、読み課題の際の単語の認知などの異なる処理に関与しているとされている。
下側頭回
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%B8%8B%E5%81%B4%E9%A0%AD%E5%9B%9E
視覚対象の特徴(色や形状)を認識する部分といわれる。顔の認識にもかかわっている。
紡錘状回
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%B4%A1%E9%8C%98%E7%8A%B6%E5%9B%9E
この領域の機能に関しては、まだ論争が存在するが、以下の5つに関しては比較的合意が成されている。
色情報の処理
顔と身体の認知 (紡錘状顔領域 (FFA : fusiform face area))
単語認知
数字認知
抽象化
紡錘状回が相貌失認と呼ばれる障害と関係しているとする研究者も存在する。
上側頭溝
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%B8%8A%E5%81%B4%E9%A0%AD%E6%BA%9D
この領域の機能的側面については、他者がどこを見ているかを認識することと関わるという報告、また、他者の感情がどこへ向けられているかを判断すること、生物の動き(biological motion)を認識すること、などと関わるといった報告がある。
側頭極
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%81%B4%E9%A0%AD%E6%A5%B5
側頭極の機能的側面はまだ解明されていない部分が多いが、意味記憶や、相貌認知(顔を見分けること)や心の理論(他者の心的状態を推理すること)といった社会的・情動的機能、などとの関連が深いと考えられている。
大脳辺縁系
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%A4%A7%E8%84%B3%E8%BE%BA%E7%B8%81%E7%B3%BB
人間の脳で情動の表出、意欲、そして記憶や自律神経活動に関与している複数の構造物の総称である。
前帯状皮質
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%89%8D%E5%B8%AF%E7%8A%B6%E7%9A%AE%E8%B3%AA
報酬予測、意思決定、共感や情動といった認知機能に関わっているとされている。
前帯状皮質はそれぞれの持つ機能に基づき、解剖学的に実行 (前側)、評価 (後側)、認知 (背側)、情動 (腹側) の4つの領域に分けられる。
前帯状皮質は学習の初期や問題解決のような、実行に特別な努力を必要とする課題に特に関係していると考えられている。エラー検出 (error detection)、課題の予測、動機付け、情動反応の調節といった機能を前帯状皮質によるものとする多くの研究がある。
前帯状皮質の損と関連付けられる症状として、エラー検出の困難さや、競合的なストループ課題の遂行の困難さ、情緒不安定、不注意、無動無言症がある。また、統合失調症の患者において前帯状皮質の損傷が見つかっている。その研究では空間的位置の競合を引き起こすストループ課題に似た課題において、異常なエラー関連性電位 (ERN) が見られた。ADHDの患者では、ストループ課題を行っている際の前帯状皮質の背側部の活動だ低下していることが分かっている。
前帯状皮質は意識的体験に必要な多くの機能に関連付けられている。より情動に敏感な女性の被験者ほど、短い‘情動的’なビデオを見ている際に前帯状皮質の活動レベルの上昇が見られる[12]。情動的な気づきの向上には、情動的な指令や標的のより優れた認知が必要とされ、このような認知は前帯状皮質の活動が反映されている。
脳梁膨大後部皮質
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%84%B3%E6%A2%81%E8%86%A8%E5%A4%A7%E5%BE%8C%E9%83%A8%E7%9A%AE%E8%B3%AA
帯状皮質の後部領域はエピソード情報の想起に関係するとされている。
嗅球
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%97%85%E7%90%83
嗅球(きゅうきゅう、英: olfactory bulb、羅: bulbus olfactorius)は、嗅神経入力を受け、嗅覚情報処理に関わる、脊椎動物の脳の組織。終脳の先端に位置する。副嗅球と区別する際には特に主嗅球(main olfactory bulb)という。
扁桃体
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%89%81%E6%A1%83%E4%BD%93
ヒトを含む高等脊椎動物において、扁桃体は情動的な出来事に関連付けられる記憶の形成と貯蔵における主要な役割を担う。恐怖条件付けの際、感覚情報は扁桃体の基底外側複合体、特に外側核へと送られ、そこで刺激の記憶と関連付けられる。刺激と予測される嫌悪的な出来事との連合は、持続的な興奮性シナプス後電位によりシナプス応答性を上げる長期増強を介して行われる。
外側核のシナプス応答に刷り込まれている情動的経験の記憶が、扁桃体の中心核との接続を介して恐怖行動を引き起こす。中心核は、硬直 (freezing) や呼吸と脈拍の増加、ストレスホルモンの放出などの多くの恐怖行動の産生に関係している。扁桃体の損傷は情動的応答の古典的条件づけの一種である恐怖条件付けの、獲得と発現の両方に障害を起こす。
扁桃体は記憶固定 (memory consolidation) の調節にも関わっている。学習される出来事の後に、その出来事の長期記憶が即座に形成されるわけではない。むしろその出来事に関する情報は、記憶固定と呼ばれる処理によって長期的な貯蔵庫にゆっくりと同化され、半永久的な状態へと変化し、生涯に渡って保たれる。
記憶固定の際、その記憶には調節 (modulation) が起きる。特に学習される出来事の後の情動の喚起は、その出来事の記憶を強める影響を起こす。学習される出来事の後の情動の喚起が強いほど、その人の持つ出来事の記憶の保持が強化される。マウスが何かを学習した後すぐにストレスホルモンを導入し2日後にテストすると、記憶の保持が強化されているという実験が示されている。
1888年に行われたもので、(扁桃体を含む) 側頭葉を損傷させたアカゲザルが社会的、情動的な障害を顕著に受けたという研究が存在する[11]。ハインリヒ・クリューヴァー (Heinrich Kluver) とポール・ビューシー (Paul Bucy) は後にこの観察された事実を拡張し、側頭葉前方の大きな損傷が、様々な対象に対する過剰反応、情動の低下 (hypoemotionality)、恐怖の喪失、異常性欲、口唇傾向 (hyperorality : 不適切な対象を口に運ぼうとする状態) などを含む目立った変化を引き起こすことを示した。
1970年には、扁桃体に損傷を起こした母ザルはその子供に対する母性的行動が減少し、しばしば物理的な虐待や育児放棄を行うことが示されている。1981年に、電波による全扁桃体の選択的な損傷がクリューヴァー・ビューシー症候群を引き起こすことが発見された。
海馬傍回
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%B5%B7%E9%A6%AC%E5%82%8D%E5%9B%9E
この領域は記憶の符号化及び検索において重要な役割を担っている。
海馬傍回場所領域 (PPA : parahippocampal place area) は海馬傍皮質の下位領域で (顔や物体ではなく) 風景の符号化と認知に重要な役割を持つ。
fMRI研究により、この脳領域は被験者が自然風景や都市風景などの画像 (つまり"場所"の画像) のような地理的な風景の刺激を呈示された際に高い活動を示した。
(脳卒中などによる) 海馬傍回場所領域の損傷は、風景の中にある個々の物体 (人や家具など) は認識出来るにも関わらず視覚的に風景を認識出来なくなるという症状を、しばしば引き起こす。
海馬
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%B5%B7%E9%A6%AC_(%E8%84%B3)
(短期記憶や空間学習能力、PTSDやうつ病の記述)
視床下部
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%A6%96%E5%BA%8A%E4%B8%8B%E9%83%A8
(怒りや不安、性的興奮など)
側坐核
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%81%B4%E5%9D%90%E6%A0%B8
(報酬、快感、嗜癖、恐怖など)
前障
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%89%8D%E9%9A%9C
(意識現象の最も重要な構成要素であるという考え)
大脳基底核
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%A4%A7%E8%84%B3%E5%9F%BA%E5%BA%95%E6%A0%B8
(運動調節、認知機能、感情、動機づけや学習)
線条体
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%B7%9A%E6%9D%A1%E4%BD%93
線条体は運動機能への関与が最もよく知られているが、意思決定などその他の神経過程にも関わると考えられている。
被殻
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%A2%AB%E6%AE%BB
(強化学習に役割を持っていると見られている)
尾状核
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%B0%BE%E7%8A%B6%E6%A0%B8
(学習と記憶、特にフィードバック処理、複数の言語間で単語の理解と分節化をスイッチする時に、これらを支配している視床と関係、大脳皮質全体の活動を計測し、閾値となる電位を制御している)
黒質
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%BB%92%E8%B3%AA
(報酬系の学習、報酬予測誤差信号、強化学習、習慣形成、手続き記憶の形成、薬物中毒)
前帯状皮質
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%89%8D%E5%B8%AF%E7%8A%B6%E7%9A%AE%E8%B3%AA
(報酬予測、意思決定、共感や情動といった認知機能)
脳梁膨大後部皮質
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%84%B3%E6%A2%81%E8%86%A8%E5%A4%A7%E5%BE%8C%E9%83%A8%E7%9A%AE%E8%B3%AA
(エピソード情報の想起)
2007年8月11日
2010年4月15日
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